法人設立者が事業を拡大する際、最も慎重になるべき投資が人件費です。
人件費は、単なる給与だけでなく、社会保険料、福利厚生費、採用コストなどを含めた総コストとして考える必要があります。
どの雇用形態を選ぶかによって、コスト構造、労務リスク、そして資金繰りの安定性が大きく変わってきます。
本記事では、主要な3つの形態のコストとリスクを比較し、設立初期の事業に最適な「ヒトの採用戦略」を解説します。
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1. 雇用形態ごとのコスト構造と特徴
「正社員」「契約社員」「業務委託」の3つの形態は、それぞれ人件費の負担方法が大きく異なります。
| 形態 | 定義・特徴 | 会社が負担するコスト | メリット(コスト面) |
| 正社員 | 期間の定めのないフルタイム雇用。最も手厚い保障。 | 給与 + 社会保険料(労使折半分) + 賞与 + 退職金 + 福利厚生費 | 安定した労働力と高いコミットメントが得られる。 |
| 契約社員 | 1年や3年などの有期雇用契約。労働法上の保護は正社員とほぼ同じ。 | 給与 + 社会保険料(労使折半分) + 賞与(※任意) + 福利厚生費 | 雇用期間満了時に契約を終了しやすい(正社員より柔軟)。 |
| 業務委託 | 雇用関係ではなく、業務の完了に対して報酬を支払う契約(フリーランスなど)。 | 報酬 のみ。原則として社会保険料負担なし。 | 社会保険料や雇用保険料の負担がゼロ。必要なスキルをスポットで確保できる。 |
2. 資金繰りを圧迫する「隠れコスト」の比較
給与や報酬以外で、資金繰りに影響を与えるコストとリスクを比較します。
2-1. 社会保険料の負担
- 正社員・契約社員: 会社は給与額の約15%(健康保険・厚生年金・雇用保険の会社負担分)を毎月負担しなければなりません。これは給与とは別の固定費として発生します。
- 業務委託: 雇用関係がないため、会社側の社会保険料の負担は発生しません。これが業務委託の最大のコストメリットです。
2-2. 労務リスク(解雇の難しさ)
- 正社員: 労働法で強く保護されており、解雇が非常に困難です。経営が悪化しても人件費を簡単に削減できないリスクがあります。
- 業務委託: 契約期間満了で終了するため、事業計画に合わせて柔軟に人員を調整できます。ただし、「実態が雇用」と見なされると、解雇が難しい正社員と同様のリスクを負う可能性があります(偽装請負のリスク)。
2-3. 賞与・退職金引当金
正社員や契約社員に賞与や退職金を支給する場合、その費用を将来のために積み立てる(引当金)必要があり、これも資金計画に含めるべき重要なコストです。
3. まとめ:人件費計画と資金調達の連携
人件費の計画は事業計画の肝であり、特に初期の資金繰りに直結します。正社員を採用する場合は、高い定着率と安定した労働力が得られる反面、社会保険料という高い固定費を覚悟しなければなりません。
一方、業務委託はコストを抑えられますが、ノウハウが社内に蓄積されにくいというリスクがあります。
計画的な資金調達によって、事業拡大に必要な人材を適切な形で、適切なタイミングで確保することが重要です。
創業期の資金調達戦略として、資金繰りを安定させることや、融資の審査をスムーズに進めるための準備が必要です。
法人口座やバーチャルオフィスの整備は、資金調達の透明性を高めます。これらの資金調達の具体的な方法や、融資の際に必要な情報については、「法人スタートナビ」をご確認ください。
